編集者・ライター

1989年 8月22日生まれ、岡山県出身。

2012年 早稲田大学文化構想学部を卒業後、出版社に就職。編集者としてライフスタイル誌を4年、車中泊専門誌を1年担当。

2017年 フリーのライター・編集として活動開始。「友光哲」から「友光だんご」へ。

友光だんご(Twitter)

 

だんごの運命を変える、師匠・柿次郎との出会い

ーーまずは、だんごさんのお仕事について教えてください。

 

編集者・ライターです。実は、ライターも名乗るようになったのはWebで記事を書くようになった2017年からなんです。

 

ーーへええ! ライターとしての活動をはじめたのは、わりと最近なんですね。

 

そうなんです。新卒で出版社に入社して、編集者として女性向けライフスタイル誌を4年、車中泊専門誌を1年担当してました。

 

ーー出版社に就職したのは、編集がやりたかったから?

 

いや、もともとは作家というか、ものを書く人になりたくて。

小さい頃、椎名誠さんのエッセイをきっかけに本好きになって、小説やエッセイを中心にいろんな本を読んでいました。

それで、本に関わることがしたいから文学系の学部に行こうと思って、早稲田大学の文化構想学部に入り、文芸・ジャーナリズム論系のコースに進みました。

 

ーー書く人になりたくて、文学系の学部に入学することへ。順調な出だしじゃないですか。

 

ただ、いざ入学してみたら周りに小説を書く同級生が何人もいたんです。そういう人って、誰に強制されるでもなく、もう放っといても書いてる訳です。でも自分はそうじゃなかったから、小説家タイプではないのかな……と。

 

ーーなるほど。それで、編集者を目指すように?

 

大学の雑誌サークルで、編集者の仕事や雑誌作りに触れたのがきっかけですね。もともと工作だったり絵を描くことだったり「ものづくり」全般が好きで。雑誌だったら文章も書けるしデザインもできるし、ものづくりの一つとしておもしろいんじゃないかと思ったんです。

それまでは編集者に対して作家の原稿を取ってくるイメージしかなかったけれど、自分のやりたいことをできるのは編集者かな、と思い、出版社に入りました。

 

ーーそうして出版社で編集をやっていただんごさんが、Webで記事を書くようになった経緯を教えてください。

 

車中泊雑誌の編集部にいた時、編集者の徳谷柿次郎さんが「ジモコロ」というWebメディアの取材で来たんです。「車中泊のやり方を教えてください」と。

そのあと、僕は別の出版社に転職することになって、お世話になった人たちに退職のあいさつをメールで送ったんです。その中には当然、柿次郎さんも含まれていたんですけど、僕の退職メールを受信する数時間前に、たまたまアウトドア系のメディアから仕事の相談を受けていたらしくて。

しかもその場で「そういえば半年前に取材した友光さんって人がいたな、あの人編集手伝ってくれないかな、でも会社員だしな……」と、僕の話をしていたそうなんです。

 

ーーそんな矢先に、だんごさんから退職メールが届いた、と。

 

そうなんです。しかも柿次郎さんは独立した直後だったから、仕事を手伝ってくれる仲間を探していたみたいで。すぐに「一緒に働きましょう!」と、声をかけてくれました。

 

ーー奇跡のようなタイミング……! とはいえ、Huuuuは雇用関係を結ばないフリーランス集団ですよね。転職先を断ってまでフリーの道に進むのは、なかなか勇気がいるのでは?

 

そうですよね(笑)。急に誘いが来て、どうしようかなって妻にも相談したんですが、「自分がおもしろいと思う人と働くのが一番いいんじゃない」っていう結論になって。

というのも、今まで「人」で仕事を選んだことはなかったんだよね。新卒で入った会社はあくまで「雑誌の編集がしてみたい」という動機だったから。

 

ーーそれでいうと、柿次郎さんは一緒に働きたいと思える人だったということ?

 

柿次郎さんがどんな人かはあまり知らないけど、ジモコロはよく見てたんです。

ジモコロみたいに、真面目なネタや大事なことを、あくまでおもしろ系ではないポップに、かつさでわかりやすく届けているメディアってほかにないと思って。そういうメディアの編集長をやってる人ってすごいな、と思ってちょっと憧れてました。

 

ーージモコロに対する印象が良いおかげで、柿次郎さんと一緒に働く決心がついた感じ?

 

それと、もう一つ。一緒に働くかの返事をする前に「お試し期間」があって、ジモコロの兵庫取材について行ったんです。そこですごく丁寧に、泥臭く取材をしている姿を見て、コンテンツに対する向き合い方がめちゃくちゃちゃんとしてる!と思って。

そんな風に、ちゃんとものづくりに向き合う編集者を目指していたから、柿次郎さんに対して「この人について行きたいな」と思えたのは大きかったかも。

 

パンチラインが飛び出す取材は気持ちいい

ーー仕事をしていて、一番楽しいのはどんなときですか?

 

インタビューですね。「これだ!」っていう一言を引き出せた時なんかは、すごく気持ちいい。

ジモコロの取材は、事前準備をしすぎずライブ感を大事にすることが多いんですが、そのなかで思いもよらない言葉とか、本質をついたパンチラインがパーンと出てくると、めちゃくちゃ気持ちいいんです。

 

ーーパンチライン……! いわゆるキラーフレーズですよね。もう「パンチライン」って単語がスッとでてくるあたり、師匠の血を強く感じます。

 

それでいうと、ジモコロで書いた「マッドサイエンティスト農家」の記事はその象徴みたいな記事かもしれません。

 

ーー「マッドサイエンティスト農家」という言葉の強さがすごいですもんね。今までの仕事で、特に思い入れのあるものは?

 

群馬の桐生でコーヒーショップをはじめた15歳の少年に取材した記事ですね。

 

ーーその記事はわたしも読みました! あれはいい記事……。

 

たまたまコーヒーショップがオープンした翌日くらいに取材したんですが、そのときはまだ世の中にも全然知られていない時期だったんですよ。

毎月1〜7日しか営業しないお店なので、翌月の営業日に合わせて記事を公開したらバーンと記事が跳ねて……。

 

ーーあの記事がきっかけで、かなりの反響があったんですよね? 取材相手の響くんのその後を追った記事も読んだけど、取材対象といい関係を築いているなぁと、ちょっと羨ましくなりました。

 

自分の書いた記事が彼を世の中の人に知ってもらえる最初の記事で、なおかつ彼が注目されるきっかけになって、結果として本人たちにも感謝してもらえた。

理想的な形で社会に良いインパクトを与えられた、ライター冥利に尽きる仕事ですね。

 

ーーだんごさんが仕事する上で、一番こだわっているのはどんなところですか?

 

読んでいて気持ちいい文章を作ることですね。流れというか、うねりみたいな。

 

ーーだんごさんの思う「気持ちいい文章」ってどんなものなんでしょう?

 

いろんな要素を総合しての「気持ちよさ」なので、リズム感とか言葉選びとか、漢字とひらがなの使い方とか……。

流れがあって、言葉選びが気持ちよくって、肌感というか、手触り感があるような……その人が喋ってる空気感を、できるだけそのまま出したいと思ってます。

 

ーーだんごさんは、人の話を聞くのが上手だなと思います。飲み会でも酔っ払ってる人の話をないがしろにせず、きちんと真面目に聞いていると噂です。

 

もっと話せるようになればいいんですけど、話すよりも人の話を聞くほうが面白くて。

それに、ライターをやるようになってから、飲み会で人の話を聞くおもしろさに気づいたんです。飲みの場での会話を楽しめるようになったし、「こういう質問したら、こう返ってくる」とかを試せるのも楽しい。

 

ーー飲みの場でインタビューのテクを試してたとは(笑)。

 

インタビューって、その人の物語を知ることができるから好きなんですよね。小さい頃から本を読むのが好きなのも、物語に触れるのがとにかく好きだったんだと今となっては思います。

キャリアとしては編集者のほうが先だし、編集者がメインって意識でいました。でも最近は、やってておもしろいのはライターだと思っています。

 

今後について

 

ーーでは、今後のことについても聞かせてください。一緒に仕事をしてみたい人はいますか?

 

記事を作る以外の人と絡みたいですね。プログラムとかWebデザインとか、自分の専門と違う分野の人たちと仕事することで、考えることとか、思考の仕組みとかを知りたいです。

 

ーーということは、記事以外の仕事も今後はやっていきたい?

 

記事以外のものを作りたい気持ちは、すごくあります。

大学のころに友だちと作ったミニコミにドット絵を描いて載せたんだけど、それがすごくおもしかったんです。小さい頃はレゴが好きだったんだけど、レゴもドット絵も、想像力を働かせるという意味では同じだと思ってて。あと、クロスステッチとか。

 

ーーへえ〜! ちょっと意外でした……!!

 

一番したいのは編み物! 変わった柄のセーターが好きなんですが、いっそ自分で作りたくて。子どもの頃はビーズ手芸もしてたし、漫画家になりたい時期もあったなぁ……。一人っ子だから、一人でできる遊びが好きだったんですよね。

 

ーーなるほどなるほど。では最後に、仕事を通じて実現したいことがあれば教えてください。

 

読んだ人の背中をそっと押したり、勇気が湧いてきたりするようなきっかけになる記事を作っていきたいです。いろんな価値観があったり、かっこいい生き方をしてる人がいたり、自分とは違う人の物語に触れることで救われることって、結構あると思うんです。

「BAMP」がまさにそうだけど、多様な小さな声を伝えることで、世の中が少しでも面白くなればいいなと思います。(ライター:きむらいり)

 

 

<Relation>

長橋諒:フリーライター。BAMP、ジモコロなどの執筆をお願いしている人。

なかむらしんたろう:Webディレクター・カメラマン。記事だけでなく、Huuuu関連のイベント撮影をお願いすることも。

木村衣里:プレスラボ所属の編集者・ライター。Huuuuの仕事をお願いしたり、プレスラボの仕事をお願いされたりする関係。